日本語教師養成講座トピック
日本語教師養成講座420時間コース
「420時間コースは受講したほうがいいですか?」「420時間コースはどれぐらい大変なのですか?」といった質問をときどきいただきます。
率直に回答すると、「日本語教師として仕事をしたいのなら受講するべきだと思うし、受講内容は決して簡単ではないです」という答えになります。
日本語教師として必要な知識をひととおり身につけられますし、ちゃんとした養成講座だと知識を身につけるだけでなく、それを実際に教壇で教えるための技術も習得させてくれるので、受けておいて損はないと思います。
私の通っていた養成講座ではまず授業を受け、次に模擬実習があり、最後に教壇実習がありました。授業は14種類の内容に分類されていて、それぞれ1冊ずつ教科書があるぐらいでしたから、かなりのボリュームです。
その一冊の教科書を、1回約3時間の授業を計4回、合計12時間ほどかけて修了します。日本語の文法、発音、歴史といったことはもちろん、異文化コミュニケーション論などもありました。
また、「自分の授業内である雑誌の切り抜きをプリントとして使用したが、著作権上問題はあるかないか」といったことも学びます。
文法などは一回の授業では理解しきれないほど複雑な部分もあるので、予習や復習もかなりおこなった記憶があります。
たいていの養成講座では、420時間コースでは授業のほか、模擬実習と教育実習があります。
模擬実習というのは同じクラスの人(もちろん日本人です)を学生に見立て、10分から15分程度の時間で導入、単語(文型)提示、練習をします。
「おはようございます。今日も暑いですね」と授業を始める(導入)ところから、「『○○放題』という言葉を聞いたことがありますか」と単語を提示し、最終的に学生がその言葉を理解し、使えるようになるまで練習をします。
日本語が不完全な外国人のふりをする学生役もなかなか大変なのですが、やはり教えるための教案準備に一番苦労しました。
前述の「○○放題」という言葉を教えるとき、どのような形で教えるのが一番自然で分かりやすいでしょうか。
たとえば「放題」と直接黒板に書き、「この言葉を見たことありますか?」と質問すれば、日本に住んで1年ぐらいの学生たちに教えているという設定なら、たいていの学生は見聞きしたことがある言葉でしょう。「あります!」という返事がかえってくると思います。
「どんなときに見たことがありますか?」と質問して「食べ放題」「飲み放題」「歌い放題」などの言葉を引き出し、「『放題』は、好きなだけ何かを食べたり、飲んだりできるサービスによく使います」と意味を説明するのがいいかもしれません。
でも、そうはすんなりいかないのが模擬実習のこわいところです…。
模擬実習では毎回、日本語教師役を受講生が回り持ちでおこないます。教師役にならなかった受講生は、教わる学生役です。
本物の学生に教える教壇実習では、日本に来てから1,2年たっている学生たちに教えることになるので、それを想定して模擬実習をします。それぞれ「陳さん」「エリザベスさん」と名前を設定し、出身国も決めておくほどの徹底ぶりです。
先ほどの「放題」という言葉を教える授業だと、「先生、このあいだ『言いたい放題』という言葉を聞きましたが、それは『食べ放題』の『放題』と同じ意味ですか」「先生、辞書には『放題とはじょうきをいっしていること』と書いてあります。『じょうき』ってなんですか?」といったふうに、わざと教師を困らせるような質問をしたりします。
でも実際の授業ではもっと話が脱線したり、必死で考えた例文がまったく通用しなかったりしますから、とてもいい練習になると思います。
担当したのは三カ月のうち3,4回で、それぞれ時間も15分程度の短いものでしたが、それでもはじめのうちはなかなか教案が作れなくて四苦八苦していました。
でも人前で話すことに慣れますし、とてもよい練習になると思います。
この経験があるのとないのとでは実際に教壇に立ったときに手ごたえがまったく違いますから、模擬授業もきちんとさせてくれる養成講座がおすすめです。
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